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アイドルのヒ・ミ・ツ

ボクの名前は、一心スバル。18歳ごく平凡な大学生だ。寮生活で圧迫された高校生活から解放されて今は一人下宿生活を気ままに楽しんでいる所さ。ここは田舎だけれどなかなか住み心地がいいところ。駅は近いし一駅行ったらなかなかの都会で遊びには不自由しない。手綱から開放された若い野生馬にとっちゃあ願ってもないところ。でもちゃんと大学の講義にはちゃんと出ているさ。なんてったって学生は勉強するために大学に来てるんだからね。「よく学べよく遊べ」ってやつさ。
今は五月、気温も穏やかで一年で一番好きな季節さ。同級生の奴で五月病で寝込んでいる奴がいるが全くもったいないったらありゃしない。こんな爽やかな季節に寝転んでなんていられるかってんだ。なにをやるかって?男ならやることは決まってるだろ。
今日は日曜日。昨日テレビでチェックした通り快晴で晴れ渡っている。雲一つない青空はボクの今の心の中みたいだ。今日は俗に言うデート。入学早々盛りのついた同級生の同志でもってやった合コンが大当たり。ボク一人カワイ子ちゃんを引き当てたってわけさ。名前はメグミって言って翌日からメール交換して、携帯電話で話して、何回かデートしてたちまち仲良くなっちゃった。ムフフフ。
そして今日はその何回目かのデートってわけ。お気に入りの服でめかし込んで髪を整えいざ出陣!おっとコンドームを忘れちゃいけないな。二人での経験はまだだけどいつなんどきでもなだれ込めるようにしなくちゃな。
ちゃんと戸締りを確認してボクは口笛を吹きながら下宿のビルの階段を下りて行った。今は車を持っていないけど。いつか自動車免許でも取れたらいいな。そしたらメグミを助手席に乗せて・・・・などと浮ついたことを考えながら駅へ向かおうとしたその先に黒い背広を着た四人の男が前に並んで立っている。そしてボクの方に揃って向かってくるではないか。このまま進むと明らかにぶつかってくる進路で無表情で歩幅を揃えて近づいてくる。
(ぶ・・・不気味だ・・・・)
ボクは咄嗟に危険を感じて180度向きを変えて逃げようとしたがそれより早く四人の内の二人がボクの退路に回り込んだ。ボクは完全に四人の男に囲まれてしまった。
(こ・・・これって噂に聞く拉致ってやつ・・・・?)
ここは田舎で田んぼのど真ん中のポツンと建っている小さな三階建のビル。穏やかな昼下がりで運の悪いことにボクたち以外人通りはなかった。この大人四人と格闘したって敵いっこなんかない。格好悪いんだけどそんなことは言ってられないので大声を出して助けを求めようとした丁度その時、目の前に立っている男の一人が進み出ると高い背をかがめボクの耳元でささやいた。
「あなたのお父様がお亡くなりになりました」
「え・・・・・」
すると静かに黒塗りのベンツが音もなく近づいてきてボクの目の前に停まる。静かに後ろのドアが開いた。ボクは夢遊病者の様に吸い込まれるように座席にペタリと座り込んでしまった。ここで抵抗したってむりやり力づくで車内に押し込まれただろう。広い座席シートの両側にボクを抱え込むように黒服の男二人が乗り込んできた。右側の男が突然の失礼を詫び名刺を差し出した。父の会社のタレント養成所の名前が目に入った。この男たちは父の会社の社員だったのだ。男はいろいろとボクに話しかけて説明しているようだったが耳にはいらなかった。ボクは空白になってしまった脳をなんとか埋めようと漂っていた。それを察したのか男は、
「長いドライブになりますので少し眠られた方が良いでしょう」
とアイマスクを取り出すと優しくボクの目を覆ってくれた。ボクは暗闇に包まれ全く揺れることのない高級車の中で胎児のように安らかな眠りにいざなわれていった。



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