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アイドルのヒ・ミ・ツ  3


火葬場で父のお骨を拾う。一人の人間がこんなちっちゃな白い塊になってしまうのを目の当たりにすると人生なんてはかないものだなと他人事みたいに思ってしまう。
一通り自分がしなければならないことを無事終えることができ安堵の溜息を漏らす。
とはいえ全ての事は福服がやってくれたのでボク自身はベルトコンベヤーにただ乗っかっていたという感じで葬儀を終えてなんの達成感も感慨もなかった。

ボクは福服さんの用意した喪服を脱ぎ普段着に着替える帰り支度を始めた。すると福服さんがとんでくる。
「スバル様どこへ行かれるのです?」
「『どこって?』言われても・・・葬儀も終わったことだし今から大学へ帰ろうかなと・・・・宿題のレポート書かなきゃいけないし・・・・」
「それはなりません」
「!?」
「お父上の遺言によりあなたは社長の椅子を引き継いでいただかなければならないのです。もうすでにスバル様の休学届は出してあります」
「なんだって!」
そういえば初めて福服さんたちに会ったとき車に乗ったのは四人のうち三人で一人が乗らずに車を見送っていた。おそらく彼がボクの休学の手続きを取っていたのであろう。ここで格好良くボクの大学学業専念を宣言したいところであるが、情けないことに今の私立大学の授業料は父に援助されて成り立っているものであった。父の反対を押し切って大学進学したとはいっても金銭援助を打ち切られれば成り立たなくなるという脆弱なものであった。バイトをして学業を続けると言ったとしても何分田舎であるのでそんなに都合よく授業料と生活費を稼ぎだせるかと言って自信はなかった。ボクの運命は相手に握られているといっても過言ではなかった。
ボクは引かれた運命のレールに乗っかって行くよりほか道はないようであった。
反面父の仕事を覗いてみたいという欲求が芽生えてきたことも確かであった。通夜葬式で父の部下たちが見せた涙の正体をこの目で確かめてみたくなったのである。

ボクは、かつて父が乗っていたロールスロイスの後部座席に座る。もちろん専属の運転手付きだ。福服さんと父のタレント養成所兼芸能プロダクションへと向かった。隣の福服さんが説明する。
名目上は福服さんが社長に就任することとなっている。そしてボクは社長見習いなのである。しかしこれは株主を納得させるための表向きの工作である。実際裏では父の遺言通りボクが会社の若社長として社の実権を握って自由に采配を振ってもよいということだそうだ。
「福服さん、ボクを社長にすると言っているけれどさ。ボクはこの仕事に関してはなんの経験も知識も持ち合わせて素人ですよ。それでもいいのですか?」
「ご安心ください。わたくし福服が及ばずながらお力添えを致します。ご心配なさらぬよう」
(父の遺言とはいえこんなはなたれ小僧のボクを社長に据えるとはいい度胸だな。ようし!ボクも男だ。やってやろうじゃないか!)
ボクは闘志をみなぎらせたのだった。

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